医療保険の種類

医療保険の種類

医療事務を学んでいくうえで重要な医療保険について、その種類を見ていきます。

医療保険の種類

医療保険の種類

医療保険は、医療保険の概要で説明のとおり被用者保険(社会保険)と国民健康保険の二本柱と、後期高齢者医療制度からなります。

 

この医療保険の種類について、おさらいも兼ねてもう少し詳しく見ていきます。

 

なお、被用者保険を職域保険、国民健康保険を地域保健という呼び方もあります。

  • 職域保険(被用者保険)・・職場を持っている人が入る保険です。
  • 地域保健(国民健康保険)・・その地域の自由業、自営業の人が入る保険です。
  • 後期高齢者医療制度・・上記2つの保険に入っていた人が75歳以上になると入る保険です。

職域保険

職域保険(被用者保険)は6つの種類に分類されます。

  • 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
    中小企業等の比較的小さな事業所の従業員が対象となる医療保険です。常時5人以上の従業員がいる事業所は強制加入であり、5人未満の場合は任意加入(国民健康保険加入でも可)となります。
  • 組合管掌健康保険(組合健保)
    規模の大きないわゆる大企業に勤める従業員が対照となる医療保険です。従業員が常時700人以上、もしくは2つ以上の事業所・事業主で合計の従業員が常時3,000人以上の場合に、厚生労働大臣の認可を得て設立できるものです。
    なお、純粋に法律上は従業員300人で設立できますが、健康保険法施行令にて700人以上が必要と規定されています。

    医療保険のしくみ(医療費支払の流れ)のとおり、保険者は被保険者から保険料を預かり保険証を交付しています。そして被保険者が保険医療機関にて診療を受けたときには、その診療費の7割部分を支払うこととなっています。したがって、被保険者のうち医療機関に掛かる人の割合が多い場合には支出が多くなってしまい経営的に成り立たない事が予想されます。

    また、組合健保はその他の給付や組合自体の運営費や各種活動費等も必要になってきますので、設立には最低でも700人以上が必要とされています。
  • 日雇特例被保険者の保険
    日々雇用先の変わる人、例えば定職を持たない季節労働者、1日だけの仕事、1週間だけの仕事のように決められていない職業に従事する人を対象とした保険です。

    他の医療保険は、1ヶ月分の収入に保険料率を掛けた金額を保険料として支払う(給与から天引き)のに対し、日払いなど支払い形態も様々ですので支払いがあるたびに保険料を差し引く形となります。
  • 船員保険(保険者は全国健康保険協会になります。)
    一旦乗船すると、数ヶ月長い場合には1年以上下船(寄港などを除く)しないため24時間1日中勤務中途なる特殊な働き方の船員を対象にした保険です。下船後3ヶ月の療養保障(10割給付)など特殊な制度がある医療保険ですので注意してください。
  • 各種共済組合
    国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済組合があり、その名のとおり公務員および学校の教職員が対象となる保険です。医療事務とは関係してきませんが昔の恩給制度(現在の年金制度のようなもの)とのからみから独特な部分があります。
  • 自衛官等
    自衛官、訓練召集中の予備自衛官、防衛大学および防衛庁管轄の各種訓練学校の学生等を対象とする保険です。
    なお、その人たちの家族は国家公務員共済組合(防衛省共済組合)の被扶養者となります。

地域保健

地域保健は2つに分類する事ができます。

  • 国民健康保険
    市区町村または特別区(東京23区)の区域に住所を有する自営業者、自由業者の人を対象とした保険です。
  • 国民健康保険組合
    同地域に住所を有する同種同業の事業者とその従業員が700人以上集まることで設立できます。

後期高齢者医療制度

75歳以上、または65歳以上75歳未満の者であって政令で定める程度の障害にある人が対象となる保険です。

 

この後期高齢者医療制度は、高齢者を国民全体で支えるという意味で、保険料を国と市町村で共同負担となっています。

 

また、保険医療機関で支払う自己負担額は原則1割(一定所得以上の者は3割)です。

 

職域保険、地方保険に加入していた人が75歳以上になった場合には、例えば社長や資産家であっても後期高齢者医療制度に強制的に加入する事になります。