医療保険のしくみ(医療費支払の流れ) | 医療事務資格の真実

医療保険のしくみ(医療費支払の流れ)

医療保険のしくみ(医療費支払の流れ)は医療事務の仕事を行うえで、しっかりと理解しておく必要があります。

 

医療費支払の流れ

 

左下の被保険者(被扶養者)が保険料を納める人です。
国民皆保険制度の日本では日本に住んでいる国民全員ということになります。(被扶養者分は被保険者が負担しています。)

 

その保険料を納める先が保険者になります。(図の@)

 

保険者とは被保険者から保険料を集めプールしておくところです。
そして病気や怪我をした場合には、自分ところの加入員であること、もしくは国民健康保険であれば地域の住民である事が確認できれば、そこで上図に沿って被保険者が負担する自己負担分3割以外の医療費が支払われることとなります。

 

さて、保険料を納入する(支払う)のですが、あなたは毎月毎月保険料の請求書・領収証を受け取っていますか?見たことはないと思います。

 

被保険者は保険料を保険者に支払い、その領収証にかえて被保険者証(家族一人一枚ずつのカードタイプ)が交付されるということになります。(図のA)
*実際には保険料を納める前の加入した段階で交付されます。

 

この保険者証をいつ使うのかということですが、病気や怪我をして医院やクリニック等の医療機関を受診したときに受付で提出します。(図のB)

 

保険者証を持っていないと、医療機関で診療を受けたときに給付が行われません。
つまり、本来保険者が負担してくれる7割を出してもらえないということになります。

 

あなたも病院に行ったときに必ず聞かれていると思います。
「保険証お持ちですか?」
「初めての来院ですか?」
また月が変われば
「保険証を再度提出してください。」
などなど

 

それは、保険料を納めているかの確認にもなっているのです。

 

そこで、保険料を納めている被保険者、もしくはその被扶養者が病気や怪我をしたときに、その被保険者証を医療機関に提出することで、療養の給付を受けることができます。(図のC)

 

つまり、保険証を提出出来なければ診療費の10割を支払う必要があるのですが、保険者証を提出する事で診療費のうち自己負担分の3割を支払う事で(3割以外の場合もあります)、あとの7割部分は現物給付として医師からの診療を受ける事ができます。

 

*「療養費の給付」と「療養の給付」は異なりますので注意してください。

 

次に、医療機関は例えば診療費1,000円のうち、自己負担分300円を患者さんからもらい、あとの700円を社保分と国保分に分けて、審査支払機関(支払基金、国保連合会)に請求します。(図のD)

 

この請求部分が医療事務としての大きな仕事の一つです。

 

つまり患者さん(被保険者)に対し、診療行為を行いその費用のうち3割部分は診療したときに患者さんから支払ってもらい、7割部分は診療行為を点数に置き換えたうえで、審査支払機関に請求します。

 

この請求は1ヶ月まとめて行いますので、診療報酬明細書(レセプト)は1つの医療機関で数千枚におよぶこともめずらしくありません。

 

このレセプトを被用者保険分、国民健康保険分の二つに分けて支払基金、国保連合会それぞれに請求します。

 

そして、審査支払機関はレセプトのチェックを行ったうえで、それぞれの保険者に対し請求をおこない(図のE)、それに対し保険者は被保険者が自分のところの被保険者かどうかの確認を行い、審査支払機関へ支払いを行います。(図のF)

 

そして、最終的に審査支払機関から、それぞれの保険医療機関に支払いが行われることとなります。(図のG)

 

これが医療費支払の流れになります。

 

お金の動きだけを考えれば、保険医療機関は保険者証に記載されている保険者番号から簡単に患者さんが加入している保険者が分かりますので、直に保険者に請求することも可能です。

 

ですが、そうなれば保険医療機関では、患者ごとにばらばらな保険者ごとに請求書を送付しなければならず、また保険者もそれぞれの保険医療機関ごとに支払いを行わなければならなくなり、事務作業が大変煩雑化します。

 

そこで審査支払機関がその事務作業を一手に代行する事で、保険者および保険医療機関の手間を軽減しているのです。

医療事務員の仕事

医療費支払の流れ

 

医療支払の流れの中で、医療事務員の主な仕事の一つが図のBになります。
いわゆる受付業務です。

 

患者さんが来院されたときに、初めてかどうか、同月内に来院しているかを確認し、必要に応じ被保険者証を提出してもらい、受診が終了した後はその日の診療に対する患者さんの負担金を計算し請求します。

 

この患者さんへの請求金額を出すために、その日の診療行為に対する診療点数を計算し、患者さんの自己負担金額を計算します。

 

そしてもう一つの主な仕事、保険医療機関から審査支払機関へ請求する図のDの部分です。
いわゆる診療報酬請求業務、レセプト業務です。
これは1ヶ月に1回です。

 

大きな違いは、Bでは1日分を患者さんに請求し、Dでは1か月分をまとめて審査支払機関へ請求する点です。

 

実際に受付(1日分の計算をする)をするところか、診療報酬請求(レセプト)業務(1か月分の計算をする)をするところか、それによって仕事の内容も変わってきます。

 

受付では患者さんと接する事が非常に多く、患者さんと顔をあわさない日はありません。

 

しかし、1か月分の診療報酬明細書の作成においては、患者さんと接する事はありません。
したがって、診療報酬明細書の作成を主に扱う医療事務課(医事課)に就職した場合には、患者さんと接する事はあまりないかと思います。

医療費支払の流れ

繰り返しになりますが、医療事務の仕事において、この医療費支払の流れを理解したうえで行うことが大事になります。

 

医療費支払の流れ

 

まとめますと

  • 被保険者は保険者に保険料を収めます。(図の@)
  • 保険者は領収証にかえて被保険者証を発行します。(図のA)
  • 被保険者が病気や怪我をしたときには医療機関(医院・クリニック等)にかかり、そこで保険者証を提出します。(図のB)
  • 医療機関で受診すると被保険者は自己負担分だけを支払い、残りは療養の給付という形で現物給付(実際の診療)を受けます。(図のC)
  • 保険医療機関は立て替えている形の療養の給付分の請求を、代行事務をしている審査支払期間に、被用者保険分と国民健康保険分を分けて請求します。(図のD)
  • 審査支払機関は請求を受けて、請求内容をチェックし、それぞれの保険者(健保組合や各地域の国民健康保険等)に請求します。(図のE)
  • 保険者は、請求された内容が自信の被保険者に対する分であることを確認し、審査支払機関に支払を行います(図のF)
  • 審査支払機関は、保険者から支払われた金額を各保険医療機関に支払います。(図のG)

 

この流れからもわかるように、診療に対する療養の給付分は即日医療機関に入るのではなく、1か月分をまとめて翌月10日までに審査支払機関に請求し、そこから保険者に請求されて、審査支払機関に支払われます。それからやっと保険医療機関に支払いが行われることになり、それは被保険者(被扶養者)が実際に診療を受けた日の約2ヵ月後となります。

 

例えば、Aさんが診療点数が100点の診療行為を受診したとします。
そうするとAさんはその日に300円の自己負担分を支払い、後700円分は医療機関が立て替える形の現物給付となります。

 

その700円は翌月10日までに、審査支払機関に請求し、そこからAさんが加入する保険者に請求を行い、保険者にて確認後に審査支払機関に支払いが行われ、それから医療機関に支払いが行われる事になります。
したがってAさんの受診が3月だとすると、700円が病院に支払われるのは5月になります。

 

もし審査支払機関への請求(図のD)にてミスがあると返戻といって、請求書が返されてしまい、訂正して請求できるのは翌月になり、結果保険医療機関への入金が1ヶ月遅れることになります。

 

つまり、医療事務員が行う診療報酬請求(レセプト)業務は、医療機関の経営面において非常に重要な役割を担っているということを忘れないでください。

 

関連ページ

医療保険の概要
医療事務を学ぶに当たってまず覚える事が医療保険制度です。実務においても、まずは患者さんがどの保険制度に加入しているのかを判断する事が第一歩となります。
医療保険制度について
医療保険制度は社会保険、公的扶助、公衆衛生、社会福祉と言う日本の社会保障制度の一翼を担う社会保険の一部です。
医療保険制度の要点
医療保険にて私たちは病院等の窓口で3割部分を支払いますが、残りの7割部分は医療事務員が診療報酬明細書(レセプト)を作成し、審査支払機関へ提出する事になっています。
医療保険の種類
医療事務を学んでいくうえで重要な医療保険について、その種類を見ていきます。
療養の給付とは
医療保険の基本となる給付である療養の給付について説明します。
カルテ(診療録)の見方
医療事務でレセプトをする場合、まずはカルテを読み解くことが必要になります。まずは簡単なカルテの仕組みを学びましょう。
カルテから治療費を計算する流れ
診療が終わった患者さんの治療費を計算するにあたっては、カルテを読み取り点数を算定することから始まります。