医療事務資格の真実

医療事務の資格が人気の理由

医療事務の資格は専門学校や通信講座で、女性にとても人気の高い資格です。

 

しかし、『医療事務』という一つの資格があるのではなく、試験の正式名称は

  • 「診療報酬請求事務能力認定試験」
  • 「医療事務技能審査試験」(合格すれば「メディカル クラーク」という称号が付与)
  • 「医療事務管理士技能認定試験」などなど

いわゆる「診療報酬請求(レセプト)業務」をメインとして医療事務全般に関する資格が約10種類以上、その他「調剤薬局事務」や「医療秘書」、「診療情報管理」、「医事コンピュータ(レセコン)」、「介護事務」、「医師事務作業補助者(医療クラーク)」関連を含めると80種類以上の資格があり、それらを総称して「医療事務」と呼ばれています。

 

これら医療事務資格の中に国家資格は存在せず、すべて民間団体や主催学校等の認定資格となります。

 

当然ながら、各種専門学校や通信講座によって、狙う資格も変わってきます。

 

医療事務資格の人気は、資格の主催団体、また、その対策講座を運営する各学校が、自分のところの試験や講座を受けてもらいたいがために、競って医療事務の魅力をアピールしていることが大きいのではと正直思っています。

 

正確に言うと、医療事務の仕事は魅力的な面も多い仕事ではありますが、それ以上に魅力的な宣伝文句に乗せられている人が多いと感じています。

医療事務の資格を取れば就職できるの?

「医療事務の資格を取れば就職に有利ですか?」
「○○の講座案内で就職に強い!と書かれていたのですが本当ですか?」
「どの資格が一番良いですか?どの資格を取れば就職できますか?」

 

などといった質問が、Yahoo知恵袋や教えてgooなどのQAサイトでたくさん見かけます。
回答は、まともなもの3割、後の7割は全否定という感じですが。。

 

実際はというと、、

真実その1 医療事務資格は採用に際してほとんど評価されない。

 

普通に考えてみればわかると思いますが、簡単なものなら1〜2ヶ月で取れる資格がそれほど重視されるでしょうか?

 

「医療事務だから、他の仕事と違って特別!」なんてことはありません。

 

司法試験や公認会計士といった超難関試験の合格者でさえ、就職難と言われる時代です。
独占資格(医師や看護師のように資格がなければ業務ができない)でもなく、国家資格でもない認定資格に合格したことで、有利になることはありません。

 

もしも、「資格さえ取れば、すぐに就職できる。」と思っているなら大きな間違いです。

 

資格を取るための勉強を否定しているわけではありません。

 

『経験なし、資格なし』よりも『経験なし、資格有り』のほうが有利なことは確かですが、資格なしでも実務経験がある方が圧倒的に有利ですし、未経験であっても資格の有無より、人柄ややる気のほうが重視されるということです。

 

「人柄ややる気なんて、履歴書や短時間の採用面接で分からないのでは?」
と思われているかもしれません。

 

確かに本質はその通りですし、求人に応募する側としてはそう言いたい気持ちもわかります。
しかし、実際に数十人、数百人と面接をしていけばある程度人を見る目が養われるのも確かですし、採用する側として応募者全員を雇用できない以上は採用する人を選ばなければならないのです。

 

その時に、資格と言う確かなものより、人柄ややる気という不確かなものの方が優先されるということです。

 

釈然としないかもしれませんが、医療事務は2年毎の診療報酬改定など継続的に勉強し続けれなければいけない仕事です。
ですから、少し知識があるよりも、一緒に働く仲間として人柄ややる気がある方が、たとえ一から教える手間を考えても重視されるということです。

 

つまり応募する側としては、「資格を取ったから大丈夫」と考えるのは間違いですし、また、採用面接において「○○という資格を取りました!」と大々的にアピールしても、実は内心苦笑されているのが実情です。

 

採用する側は、何十種類もある医療事務の資格や、その違いを知っているわけではないのです。

 

一つ例外があるとすれば、医療事務の資格の中で最も難しいと言われている「診療報酬請求事務能力認定試験」です。
この資格は、スタッフに取得を義務付けている病院や、資格手当を支給しているところも一部あり、一定の評価がされています。

 

ただし、「じゃあ、診療報酬請求事務能力認定試験を取れば就職できる!」とは思わないでください。

医療事務の資格は実務に役立つの?

医療事務の仕事は専門職です。決してアルバイトに1、2週間教えてできるものではありません。

 

ですから、資格があるのですし、「手に職」をつけて将来も安心できる魅力的な仕事だと思うのです。

 

もしも、医療事務の仕事が
「未経験でもすぐに採用される。」
「半年ほど勉強して資格を取得すればすぐに就職できる。」

 

のであれば、安心できますか?

 

それは、「経験を重ねて給料も年齢も上がってくれば、簡単に未経験の若い子にとって代わられる。」
もしくは、「経験の少ない若い子と、お給料や待遇がほとんど変わらない。」
と同じ意味です。

 

『専門職であり、実務経験が重視される。』からこそ、将来的にも安心できる仕事と言えるのではないでしょうか。

 

つまり、経験に伴って得られる知識や判断すべきことが多くあり、資格取得のための知識のみで即実務が出来るわけではないのです。

真実その2 資格の知識は基礎であり、医療事務の入り口でしかない。

 

  • 医療事務のような専門的な知識や資格はいつでもどこでも「即戦力」として評価され、医療関連への就職・転職の強い味方となってくれるのです。(某専門学校HPより)
  • 資格取得は、「即戦力として活躍できる」という最高のアピールになります。(某資格運営団体HPより)
などと言うのは、残念ながらまったく真実ではありません。少なくとも実際の現場の認識とは大きくかけ離れています。

 

各種資格の学校が商売である以上、医療事務に限らず”過剰な宣伝”は無くならないのかもしれませんが。。

 

例えば一般事務に人気の「簿記検定」。
専門学校の宣伝では『即戦力の知識を得られる。即戦力と評価される。』とアピールしているところもあります。

 

ただし、運営団体である商工会議所のHPでは、「社会人としての一般常識・基礎力」という表現にとどまっています。

 

実際に経理の仕事をするには簿記の知識は持っていて当たり前であり「簿記2級、3級」の資格はことさら評価の対象になりません。(経理課の人間に聞いたところ簿記1級合格であったり、2級でも0から初めて3ヶ月程度の学習期間で合格したということあれば、その地頭の良さ(=理解力)は評価する。」とのことでした。)

 

医療事務資格の残念なところは、各種資格の学校だけでなく、資格の運営団体までもが過剰と思えるアピールをしていることです。

 

その結果が、QAサイトや口コミサイトなどで良く見かける「騙された!資格を取るのは全くの無駄!」という書き込みではないでしょうか。

 

ですが、厳しいことを言えば自身の将来のことであるにも関わらず、そういった宣伝文句に安易に乗せられた上に、想像した理想と現実が違ったからと言って「詐欺と変わらない!」とか「絶対止めたほうが良い!」と言うのも、違うような気がします。

 

もちろん、現実的でない、もしくは、きちんとキャリアを積み上げていった先の魅力を、さも簡単に誰でも得られるように思わせる宣伝が元凶だと思いますし、非常に残念なことです。

 

理想の仕事について

誰にとっても魅力的な仕事というものはありませんし、どんな仕事にも良い面、悪い面があります。

 

良い面だけを見て安易に考えるのでなく、
悪い面だけを見て簡単にあきらめるのでなく、

 

しっかりと、あなた自身の将来の希望、そして、今の現実を見つめてください。

 

今から、医者や弁護士、アイドルやプロスポーツ選手を目指す気持ちと環境がある人は少ないでしょう。

 

あなたが頑張れる中でどれが一番望ましい将来に近いかを考えてください。

 

そして、本気で医療事務で働きたいと思い、努力を続け、キャリアを積み重ねていった先に、医療事務の仕事があなたにとって理想の仕事となります。

結局、医療事務資格を取るのは無駄なの?

医療事務の資格は就職に役立たない。また、実務に即役立つわけではない。

 

「それだったら、医療事務の資格を取る必要はない。費用や時間の無駄。」
と思われているかもしれません。

 

しかし、矛盾するようですが「医療事務で働きたい」と本気で思っているなら、医療事務の資格を取ることをお勧めします

 

なぜなら、医療事務の仕事は資格が必須ではありませんが、知識が不要と言うことでは決してないからです。

 

医療事務の仕事をする上で、資格取得に必要な知識はほとんどが知っていて当たり前の基礎知識です。

 

正直、知識0で医療事務に就いてしまうとかなりしんどいと思います。
医療事務として採用された場合に、十分な教育や引き継ぎは無いのが普通と考えていてください。
(特に中途採用や個人病院の場合)

 

資格の知識があるからといって、新しい職場での仕事が楽なわけではありませんが、専門用語等の基礎知識があれば少しは助けになると思います。

 

「じゃあ、資格を取ってから就職活動しよう。」とは思わないでほしいのですが、仕事に必要な基礎知識を系統立てて、効率よく学習するためにも資格取得を目標として勉強されることはお勧めです。

 

今は診療報酬の計算などもパソコンが自動でやってくれるところがほとんどですので、中には知識不要と言う人もいますが、決してそんなことはありません。

 

「適切なデータを間違いなく入力できること。」
「パソコンから出てきた結果が正しいか判断できること。」
はプロとして必要なことです。

 

病院によっては、医療事務が医師の書いたカルテを読み取り、医事コンピューターに入力したうえで、患者さんへの請求書・処方箋を出力するところもあります。

 

薬の名称には似たようなものがたくさんあり、また最後のアルファベット一文字、二文字で効能や効果の時間が違っていたりします。

 

効果が違うものはもちろん、6時間効果があるものと12時間効果があるものを、もし万が一間違えるようなことがあれば、大変なことになるのは想像に難くないと思います。

 

それらを、医師の診察が終わった後、患者さんが会計を行うまでに、適切に素早くそして絶対に間違いがないよう処理することも医療事務には求められています。

 

パソコンを操作する業務、ソフトがやってくれる業務は今後も増えることはあれ、減ることはないでしょう。
しかし、医療事務という仕事は前提となるプロとしての知識無しにできる仕事では決してないのです。

 

そして、もう1点。

 

資格を持っていることが就職で有利になるわけではない。とお伝えしましたが、

 

「資格を持っています。」「資格取得に向けて勉強中です。」というのは、資格より評価される「やる気」につながります

 

ただし、採用面接で単純に「資格に合格しています。勉強中です。」と言えば、やる気があると思ってもらえるわけではなく、「やる気があるから資格を取った。」「やる気があるから資格取得を目指している。」ことを、あなたがアピールする必要があります。

 

逆に上手にやる気をアピールできたとしましょう。
「ですが、資格は持っていません。目指してもいません。」

 

となれば「本当にやる気があるのかな?」と思われかねません。

 

もし、『未経験から医療事務の仕事を目指すけども資格は取らない、目指さない。』と決めたのなら、なぜ資格を取ることを考えなかったのかについて、それなりの理由を用意しておく必要があります。

 

医療事務の仕事は人気ですので、あなたが応募する“未経験可の求人”には応募者がたくさんいるでしょう。
資格について聞かれなければ答える必要はないのですが、応募者の中には「未経験、かつ、資格合格者」が多くいるでしょうから、必然質問される可能性が高いです。

 

当然ですが、「インターネットで資格は必要ない。無駄と書かれていたからです。」というのはダメです。

 

「資格学校のHPはじめ、必要。役に立つ。と書かれているところもあるでしょう。必要ないというのを信用した根拠は?」と聞かれて答えられますか?

 

つまり、多くの人が資格を取って働こうと頑張っているなか、資格取得がプラスに働くことはありませんが、資格を取っていない、目指していないことはマイナスに働く可能性があります。

医療事務資格について知っておくべきこと

医療事務資格に国家資格はありません。すべて民間資格です。

 

したがって、医師や看護師のように資格がなければ仕事ができないということはありません。

 

医療事務の公的資格

そもそも「公的資格」というのは通称であり、明確な定義があるわけではありません。

 

何らかの公的性があれば公的資格を名乗ることが多いようですが、もっぱら資格を権威付けするために使われているのが現状です。

 

医療事務資格で言えば、Wikipedia(ウィキペディア)や多くのホームページで、次の2つの資格が公的資格と書かれていることが多いです。

  • 「診療報酬請求事務能力認定試験」
  • 「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」

 

「診療報酬請求事務能力認定試験」については、「公益財団法人 日本医療保険事務教会」という厚生労働省が認定した公益法人(一般財団法人/一般社団法人ではない)が主宰する資格であるため、公的資格と言っても間違いではないと思います。

 

ただし、「厚生労働省認定資格」ではありません。あくまで「厚生労働省が認定した団体が主催する資格」ということです。

 

次に、「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」ですが、こちらについては何故公的資格と言われているのか不明です。
主催団体も「一般財団法人 日本医療教育財団」であり公益法人ではありません。

 

なお「一般財団法人 日本医療教育財団」ホームページのQ&Aページでも、次のように記述されています。

医療事務の資格は国家資格なのですか?
現在、医療事務の資格に国家資格・公的資格はございません。さまざまな団体で医療事務関連の資格を扱っていますが、すべて民間資格です。http://www.jme.or.jp/qa/index.html#anc01
Wikipedia(ウィキペディア)は、善意の第三者が編集する辞典ですので間違いも散見されます。

主催団体自体がHPで民間資格と述べているので、「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」を公的資格としているのは間違いでしょう。
(そして、多くのホームページはWikipediaをコピー。)

 

ちなみに、昔は「民間技能審査事業認定制度」という制度(2006年廃止)があり、文部科学省(旧文部省、科学技術庁)や厚生労働省(旧厚生省、労働省)などが認定した認定資格というものが約140種類(英語検定、簿記検定、漢字検定など)ありましが、その中に医療事務関連の資格は含まれていませんでした。

 

また、主催団体が公的に認証されていれば公的資格というなら、特定非営利活動法人(=NPO:都道府県知事が認証)が実施している資格や、公益社団法人日本医師会が認定する「日本医師会認定医療秘書試験」「日本医師会レセプト操作実務者(認定オペレータ)試験」」も公的資格に該当するのではないでしょうか。

 

つまり、医療事務資格に国家資格・公的資格はなく、すべて民間資格というのが正解だと考えます。

 

余談ですが、執筆時点のWikipedia「日本の医療・福祉・教育に関する資格一覧」ページより

wikipedia医療事務資格

この「JAD区分【公的資格】」というのを調べたのですが分かりませんでした。
ご存知の方がいれば教えてください。

医療事務資格の種類

医療事務の資格には、ここまでお伝えしてきたとおり様々な団体や法人が主催しており、数多くの資格があります。
その数はざっと調べただけでも80種類以上となります。⇒医療事務の資格種類一覧

 

中には一字違いの資格や、全く同名の資格などもあります。
ちなみに資格にRやTMがついているものがありますが、Rが商標登録済み、TMが単なる商標(申請中含む)を意味します。
(商標登録されていれば、他に全く同じ名前の資格は無いということです。だからといって評価が上がるわけではありません。)

 

何故こんなにあるの?

すべてがそうだとは言いませんが、講座の権威づけのためと、資格運営団体が儲けるためにどんどん作っているのでしょう。

 

日本○○財団、全国○○協会、医療○○会といった、もっともらしい名称をつけて、「うちの講座で学べばこの資格が取れますよ。」と言うためです。

 

資格認定団体のHPを詳細に見てみると、

  • 資格認定団体と講座を開いている学校の住所が同じ。
  • 資格認定団体と講座を開いている学校の代表者が同じ、
  • 数年前の試験の案内が未だにトップページに掲載されている。

    (一般受験可としながら実質講座修了者しか相手にしていない)

  • 代表者の名前が出ていない。
  • カリキュラム修了後に申請(有料)だけで取得可能

など、はっきり言って初心者を食い物にするために団体・資格を作ったのでは?と思わざるをえないようなところもあります。

 

資格団体が儲けるためであっても、学校が講座の宣伝のためであっても、資格が“宣伝のとおり”実際に役立つのであれば問題ないのですが、そうでないことは今まで述べてきたとおりです。

 

ですから、専門学校等で複数の講座をセットにしたコースや、講座終了後にステップアップのための別講座を勧められることがありますが、申し込むとしても必要な講座だけを冷静に申し込むようにしましょう。

 

どの資格・学校を選べばよいの?

医療事務には多くの資格がありますが、大きく分類分けすると

  • 診療報酬計算の資格
  • 医療事務全般の資格
  • 調剤薬局事務の資格
  • 介護事務の資格
  • 医事コンピューターの資格
  • 医療秘書の資格
  • 医師事務作業補助者の資格

となります。
*医療事務や診療報酬計算には歯科に特化したものもあります。

 

したがって、まずはこの分類から何を選択するかですが、あなたが、「絶対に歯科・調剤薬局、介護関連で働きたい!」のでなければ、医療事務全般の資格を選びましょう。

 

そして最終的には、医療事務資格の中で一定の評価がなされている「公益財団法人日本医療保険事務協会 診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」を目指すと良いでしょう。

 

その他の資格は、実際に実務についた後に必要だと感じれば資格を取得すれば良いです。
*資格が必要ということでなく、その分野の知識が必要だと感じた場合に、効率よく学ぶために目標として資格取得を目指すということです。

医療事務全般の資格について

まず初心者であれば、この分類の資格を目指して勉強しましょう。

 

ざっと列記すると次の資格があります。(受験資格有りも含んでいます。)

  • 医療保険士認定試験/医療保険学院(株式会社エム・アイ・シー)
  • 医療事務検定試験/日本医療事務協会(株式会社日本教育クリエイト)
  • 医科医療事務検定(1級、2級、3級)/全国医療技能検定協議会(ANMC)
  • 医科医療事務検定試験(1級、2級、3級)/一般社団法人日本医療報酬調査会(JMRI)
  • 医科医療事務検定試験(1級、2級、3級)/医療福祉教育振興グループ日本医療事務検定協会
  • 医療事務資格試験/一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)
  • 医療事務基礎検定試験/一般財団法人 日本ビジネス技能検定協会
  • 医療事務(医科)能力検定試験(1級、2級、3級)/一般財団法人日本ビジネス技能検定協会
  • 医療事務技能審査試験 (メディカルクラークR)/一般財団法人日本医療教育財団
  • 医事業務管理技能認定試験(医事業務管理士R)/一般財団法人日本医療教育財団
  • 医療事務士R認定試験/一般財団法人日本病院管理教育協会
  • 医事管理士R認定試験/一般財団法人日本病院管理教育協会 
  • 医療事務管理士R技能認定試験/株式会社技能認定振興協会(JSMA)
  • 医療情報実務能力検定試験(1級、2級 医療事務実務士R)/特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会(MEDIN:メッドイン)
  • 医科2級医療事務実務能力認定試験 /特定非営利活動法人全国医療福祉教育協会
  • 医療保険請求事務者認定試験(1級・準1級・2級)/有限会社全国医療関連技能審査機構

この一覧からも想像できるように、学ぶ内容も名称も似たような資格が評価されるとか、医療機関が資格の存在を知っているとは思わないでください。
あくまで、医療事務を目指すための基礎知識を学ぶためと考えてください。

 

そういう意味で、どの資格を狙っても大差ありません。
あなたの都合に会う資格を狙えばよいでしょう。

 

自信があるなら独学でもOKです。

 

より詳細な狙うべき資格のポイントは『医療事務へのSTEP』の中でお伝えしています。

 

診療報酬計算の資格について

「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」を目指しましょう。

 

それ以外の診療報酬計算に特化した資格試験は、はっきり言ってしまえば不要です。

 

「診療報酬請求事務能力認定試験」は一定の認知度と評価がある唯一の医療事務資格と言えます。
医療機関によっては、職員に取得を義務付けたり、資格手当が支給されるところもあります。

 

ただし、「診療報酬請求事務能力認定試験」を知らない医師や医療機関も、もちろんあります。
ほとんどの医療事務に関するホームページで認知度、難易度ともに最高レベルというようなことが書かれていますが、残念ながら他の資格の認知度が低すぎるというのもあながち間違いではありません。

 

例えばニチイ学館(まなびネット)で学んだ場合に目指すこととなる「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」は、他の専門学校や短大の受験者も多く年間3万人の受験数を誇る医療事務最大の資格ですが、資格を知らない医療機関も多いというのが現実です。

 

もちろん、専門学校に紐づく派遣会社等から派遣や委託を受け入れている病院は、その学校で目指している資格については知っているでしょうが、やはりそれ以外の資格についてはほとんど知らないですし、特に個人病院などではその傾向は顕著です。

 

逆に良く知っている医療機関は、短期間で取れる(=難易度が低い)資格であることや、在宅受験だということで評価していないところもあります。
(*医療事務技能審査試験は会場受験です。医療事務資格試験については在宅受験できるものも多いですが、Yahoo知恵袋などのQAサイトで質問して試験解答する人が多く、その実情を知っている医療機関などは資格について全く評価していません。)

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度

診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務資格の中では最難関といわれ合格率も30%ほどですので、しっかりと勉強する必要があります。

 

ですが、「独学では無理」「実務経験者でもなかなか受からない。(実務経験者の受験割合は20%ほど)」などと説明されているホームページも多いですが、それほど身構える必要がある資格試験でもありません。

 

資格試験全体で考えると、難易度は中位くらいでしょうか。
1年以上寝る間を惜しんで勉強しないといけないほど難しくもなく、かといって、1〜2週間テキスト1冊読めば大丈夫というほど簡単でもありません。

 

他分野の資格でいうと簿記2級の合格率が30〜40%ですが、私の感覚的にもちょうどそれくらいです。
(簿記2級より若干難しいレベル。)

 

勉強期間は1日1、2時間として6ヶ月程度が標準です。集中して勉強する時間があり、試験に対して要領のよい方であれば4ヶ月でも可能でしょう。
(*難易度の感じ方や学習に必要な期間は人それぞれです。)

 

独学で合格は可能?

正直微妙な難易度だと思います。
試験時間3時間で、手際良く解答していかないと時間切れになる試験ですので、決して簡単とは言えません。

 

ただ、決して独学で合格できない試験ということでもありません。
参考書、問題集、過去問だけで理解できる自信がある人は独学でも大丈夫でしょう。

 

まずは大き目の書店などで医療事務の参考書を流し読みし、理解できそうか確認してください。

 

もし簿記の試験を受けたことがあるなら、簿記2級があなたにとって独学で合格できるレベルだったかどうかを基準にしても良いでしょう。

 

ですが、試験が年2回であり不合格であれば次の試験まで6ヶ月待つ必要があります。

 

その時間を考えると、試験の傾向と対策、解答テクニック等も教えてくれる専門学校や通信教育で目指されることをやはりお勧めします。
(資料持込み可の試験ですので、その資料をいかに効率よく利用するかと言ったコツも必要になります。)

 

少なくとも、講座費用がもったいなかった(=独学で十分だった)と思うようなレベルの試験ではありません。

 

医事コンピューターの資格について

医事コンピューターと言えば多くの場合レセプトコンピュータ(レセコン)を指しますが、ここでは電子カルテの資格も含んで説明します。

 

「今はPC導入が進んでおり、どこの病院でもPCで専門ソフトを扱うことが前提です。」
「ですから、医事コンピューターの講座も絶対必要です。就職にも有利です。」

 

と、セットで進められることが多い医事コンピュータに関する資格講座ですが、、

 

ほとんどの病院でPCの導入、専門ソフト(レセコン、電子カルテ)の利用が進んでいるのは事実です。

 

ですが、レセコプトコンピュータ、電子カルテともに様々なメーカが開発しており、当然ながら使い方もそれぞれ違います。残念ながら、このソフトを覚えていればOKというような、圧倒的にシェアをとっているメーカもありません。

 

したがって、一つのソフトの使い方を覚えでも、たまたま採用された医療機関で同じものを利用していた場合でないとほぼ使い物になりません。

 

エクセルやワードのように、バージョンの違いで基本は同じでも使い勝手がかなり違ってくるものもあります。

 

ただし、PCの操作は確実に必要ですので、ソフトの使い方だけでなくパソコン全般の知識を教えてくれる講座であれば受ける価値はあるでしょう。

 

もしくは、パソコンに対して苦手意識があるのであれば、初心者向けのパソコン講座(エクセル、ワードの使い方が含まれるもの)を受けるほうが良いでしょう。

 

医療秘書の資格について

簡単に言ってしまえば、「医療事務+秘書業務」です。

 

一般的な秘書と違うところは医療に関するな基礎知識が必要なところですが、「医療秘書」そのものの求人は極めて少ないです。
どうしても医療秘書になりたい場合には、チャンスがあったときのアピールポイントとして取得しておいても良いかもしれませんが、それ以外の場合は不要でしょう。

 

ただし「日本医師会認定医療秘書」については、日本医師会認定資格ということで一定の評価をしてくれるかもしれません。(全日制の通学で1年、通信で2年以上の所定の学習を修了していることが受験資格です。)

 

調剤薬局事務、介護事務の資格について

先にお伝えしたとおり、調剤薬局で働きたい。介護関連施設で働きたい。という場合は資格を狙うのも良いでしょうが、その場合でも、まずは医療事務全般の資格を狙いましょう。
(既に調剤薬局や、介護施設での採用が決まっている場合を除きます。)

 

医師事務作業補助者の資格について

その名のとおり、医師が行う事務的作業の補助業務に関する資格です。

 

医療機関によって「医療秘書」「医療クラーク」「メディカルアシスタント」などと呼ばれています。
業務内容は多岐にわたるため、医療事務全般の資格取得後に狙うのも良いですが、医療事務の資格と同様、資格がなければできない仕事ではありません。

 

なお、医師事務作業補助者を置くことで病院は「医師事務作業補助者体制加算」が受けられる(病院の収入が増える)のですが、入院者数に応じて請求できるものですので、当然入院設備を保有していない病院では意味がありません。

 

また、仕事には資格は必要ありませんが、加算の対象となるのは医師事務作業補助者を配置してから6ヶ月以上の研修期間後(32時間以上の基礎知識習得研修を含むことが必要)となりますので、就職前に取得する必要はありません。

 

その他、医師事務作業補助者体制加算の対象者は、診療報酬請求業務等や窓口業務を行えないこととなっています。

医療事務資格の真実と医療事務の魅力

真実その3 医療事務の資格に、基礎知識以上を期待してはいけない。

今までお伝えしてきたとおりです。

 

ただし、誤解してほしくないのですが、医療事務の資格自体を否定しているわけでも、ましてや医療事務の仕事自体を否定しているのでもありません。

 

医療事務の仕事は手に職をつけられる専門職であることは間違いないです。
また、医療機関で医師や看護師と患者さんの橋渡し役として、間接的にですが病気で困っている人を助けることができ、感謝もされるやりがいのある仕事です。

 

医師は看護師の業務はできますが、ほとんどすべての医師が診療報酬請求業務(レセプト業務)はできません。
病院の顔(受付)として一番最初にお客さん(患者)に接し、経営の基盤となる請求業務を支えるのは、まぎれもなく医療事務のスタッフであり、医療機関のまさしく縁の下の力持ちなのです。

 

医療事務は医療機関になくてはならない仕事なのです。

 

ただ、資格学校等の魅力的な宣伝文句に乗せられて、「資格さえ取れば万事OK。」「自分の都合で働ける。」「座り仕事で楽そう。」などとは絶対に思わないでください。

 

そのような甘い考えで資格を取った人は、たとえ就職できても辞めていくことが多いと感じます。

 

普通の仕事と同じく資格だけで何とかなることもなく、それぞれに職場環境もあれば人間関係も当然あります。

 

医療事務は魅力的で、やりがいのある仕事ですが、魅力もやりがいもあなた自身が見つけるものです。
他の誰かが与えてくれるものではありません。

 

そして、魅力ややりがいというものは、努力して本当に人の役にたてる実力を身につけたときに見えてくるものだと私は思います。

 

最後に

かなりの長文をここまで読み進めていただいているあなたは、本気で医療事務の仕事に就きたいのだと思います。

 

もしかすると、「本当に私にできるのかな?医療事務って大変そう。」と不安な気持ちもあるかもしれません。

 

ですが、あなた自身に問いかけてみてください。
「医療事務をあきらめて、何を目指すの?」

 

ちがう選択肢があるのなら、どちらがより自分に向いているのか考えてください。
そして、その仕事について10年後どちらがより自分の望む将来に近いかを想像してみてください。

 

もし他に希望する選択肢がないのなら、もしくは、今から見つけようと思うのなら、医療事務を目指すために”今”一歩踏み出しませんか?

 

目指す途中で違う方向が良いと思えばその時に方向転換すればよいだけです。

 

あなたにとってより良い将来は、行動しなければ見つからないかもしれませんし、その時点で「医療事務とどちらを目指そう?」と悩むかもしれません。

 

その時に、すでに医療事務の勉強を進め、就職面接も受けていれば、それだけ比較判断できる材料が有るということになります。

 

年齢や学歴、性別にかかわらず、あなたが本気で努力した先には医療事務がきっと理想の仕事になります。

 

本気で医療事務を目指し、頑張る人が一人でも増えれば、病院はもっと良くなると信じています。
いつか将来、病気で困っている人たちのために、あなたと一緒に働ければ嬉しいです。

 

⇒ 本気で医療事務の仕事に就くためのSTEP 【0:仕事に就くために】

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