医療事務の資格を取る目的は
、第一に医療事務として就職(転職)すること、
第二に実務で資格の知識を活かせることだと思います。
では、何十種類もある医療事務資格の中で、一番有利な資格はどれなのでしょう。
細かい理由より、ともかく就職に有利な資格を知りたい方は
⇒ 初心者におすすめの医療事務資格は(このページの後半に飛びます)
医療事務になるための具体的STEPを最初からご覧になりたい方は
⇒ 未経験・資格無しから医療事務の仕事に就くための最短STEP
はっきり言ってしまえば、お伝えしてきているとおり医療事務の資格を持っていることが就職で大きく有利に働くわけでもなく、実務においても即戦力としての知識までが身につくわけではありませんので、どの資格を取ってもそれほど変わりません。
「それなら、仕事をするにあたって資格が必須でもないので、取らなくても良いのでは?」
と思われるかもしれませんが、医療事務という仕事は人気であり、医療事務資格も同様人気があるため、多くの未経験者が資格を持っている状態です。
ですから、あなたが採用する立場だったならば「未経験かつ、資格無し」の人と、「未経験だけど、資格合格」の人がいた場合に、「未経験だけど、資格合格」の人を採用する可能性が高くなるとは思いませんか?
つまり、就職で有利にはならずとも不利にならないために、本気で医療事務の仕事に就きたいなら資格を取るべきだと私は考えます。
<<人事の本音>>
「これからがんばります」という人と「すでに行動しています」という人では評価においてかなり差があります。
なぜなら「がんばる」というのは自己評価でしかなく、その人にとっての「がんばる」がどのレベルか分からないからです。
例えば、毎日10分ほど医療事務に関するテキストや、レセコンの説明書等を読んで「毎日勉強しています。がんばっています。」とアピールするスタッフがいました。
「いやいや、その程度でがんばっているとは言えないから・・」
もちろん、本当にがんばる人もいるでしょう。
ですが、本当にがんばる気持ちがあるのなら、最低でもすでに行動にうつしていると思いませんか?
つまり、「がんばる」のレベルは分かりませんが、本当にがんばる気持ちがある人なら、少なくとも何かしらの行動(資格に合格済み、もしくは資格の勉強を始めている等々)を起こしているはずだと考えます。
口先だけの「がんばる」かもしれない人と、実際に行動が伴っている人と評価が違うことは当たり前ですよね。
「医療事務の資格合格が就職に有利に働くわけではないが、不利にならないために取る必要がある」のですが、それでもどうせ勉強するなら少しでも就職に有利な資格をとりたいですよね。
後ろ向きの理由ばかりではモチベーションも上がりませんし。。
そういう意味では、医療事務資格の中で最も就職に有利と評価されている資格は『日本保険事務協会の診療報酬請求事務能力認定試験』となります。
医療事務の資格の中で最難関と言われる資格ですので、当たり前かもしれませんが。
ですから、最終的にはこの「診療報酬請求事務能力認定試験」を狙ってほしいのですが、最初からこの難易度の一番高い資格1本に絞って勉強していくことはお勧めできません。
初心者でも、しっかり時間を取って学習すれば合格できないということはありませんが、より簡単な試験からステップアップしていく方が学習を進めやすいです。
また、もし半年に1回の試験に落ちてしまえば、その後半年は資格無しのままになってしまいます。
さらにもう1点、「診療報酬請求事務能力認定試験」は診療報酬請求(レセプト)に特化した試験です。
医療事務の仕事を行う上では、それ以外にも受付業務の流れであったり、接遇や、院内コミュニケーション、また個人情報保護の概念などの基礎知識を持っていた方がより望ましいです。
そういう意味でも、診療報酬請求(レセプト)に関する項目以外も出題範囲に含まれる、初心者向けの資格から挑戦していくことがお勧めです。
医療事務資格には、「診療報酬請求事務能力認定試験」のように診療報酬(レセプト)に特化した資格もあれば、レセプトコンピュータや電子カルテなどの医事コンに特化した資格、また医療秘書や、医師事務作業補助者に特化した資格、また調剤や介護、接遇やホスピタリティに特化した資格などもあります。
特化した資格については、実際に医療事務として働きだした後に、その分野の知識を習得したいと思った時に挑戦していけば良いと思います。
初心者の場合は、いきなりそのような試験を目標にするのでなく、医療事務全般が問われる資格試験を目指しましょう。
医療事務全般を出題範囲とする資格試験も大変たくさんあります。
その中で、どの医療事務資格を選ぶのか、ポイントとなる点を挙げていきます。
細かい比較はいいので、有利な資格がどれかを知りたい方は
⇒ 初心者におすすめの医療事務資格は(このページの後半に飛びます)
就職のための面接で「○○の資格持っています。」と、アピールしても医療機関側がその資格を知らなければ評価してもらえません。
ですから、どうせ資格を取るなら出来るだけ知名度が高く、あなたが応募する医療機関が知っている可能性の高い資格を選びたいものです。
*医療事務資格のほとんどを、医療機関側は知りません。
医療事務の資格種類一覧で80種類以上紹介していますが、あなたもほとんど知らないのではないでしょうか?
ただ知名度と一口に言っても明確な指標があるわけではありませんし、地域により違いもあるでしょう。
受験者数が多ければ知名度も高いと言えるでしょう。
受験者数が不明な(公表していない)ところも多いですが、そういう資格は受験者数が少ないと考えても良いでしょう。
資格団体自体も受験者を増やすために競争しており、もし受験者数が多いのならアピールポイントとして公表するのが自然だと考えます。
したがって、公表していないということは受験者数が多くないと考えられます。
また、団体によっては事業報告をHP上で公開し、その中で受験者数を公表しているところがあります。
事業報告をHPで公開できる内部体制、および情報開示の姿勢は受験者数の多寡にかかわらず評価できると思います。
もちろん、公表していないからといって即マイナスではないですが、公表していればプラスに評価しても良いと思います。
ここまでステップ通りに進まれてきた方は、ハローワークの求人情報や、転職・求人サイトの求人情報、派遣会社の派遣情報などをご覧になられてきたと思います。
お住まいの地域の、請負や派遣に関する医療事務求人で、特に多く求人を出している会社はありましたか?
医療事務の大手専門スクール等では、就職支援・サポートの一つとして派遣会社等と提携を結んでいる学校もあります。
特にグループ会社で派遣会社等を持っている場合は、その会社の多くの派遣登録者が、その専門スクールで勉強する資格を持っているでしょう。
つまり、ある派遣会社があなたのお住まいの地域で多く求人を出しているなら、そのグループ会社等の専門スクールで勉強している資格が、あなたのお住まいの地域では知名度が高いことが予想されるということです。
例えば、派遣会社(以後Aとします)が求人を多く出しているとします。
⇒ Aはその地域の医療機関に強い。
⇒ Aの派遣社員として働いている人が多い。
⇒ Aと同グループの専門スクール(以後Bとします)で学んだ人が多い。
⇒ Bで勉強する資格を持っている人が多い。
⇒ 現役の医療事務員の多くがその資格を持っている。
⇒ 医療機関がその資格を知っている可能性が高い。 ということです。
専門スクールと特につながりが深いであろう、派遣会社等を一覧にしましたので、特に多く目にした会社があれば、その専門スクールで勉強することとなる資格を検討対象に入れてください。
資格スクール |
提携派遣会社等 |
---|---|
日本医療事務協会 | ㈱日本教育クリエイト クリエイトスタッフ(グループ企業) |
ニチイ学館 |
㈱ニチイ学館(同会社で医療事務の請負事業を展開) |
資格の大原 | ㈱大原キャリアスタッフ(グループ企業) |
ヒューマンアカデミー |
ヒューマンメディカルケア㈱(グループ企業) |
ソラスト | ㈱ソラスト(同会社で医療事務の請負・派遣事業を展開) |
レセプトは「入院外レセプト」と「入院レセプト」に分けられます。
「入院外レセプト」とは、外来通院や在宅医療(往診・訪問看護)などのレセプトであり、「入院レセプト」とはその名のとおり入院のレセプトです。
入院レセプトは入院外レセプトとまず用紙が異なり、入院料等の入院外(外来)とは算定ルールが異なる部分があります。
もちろんクリニックなどの、入院施設の無い医療機関で働く場合には必要ない知識となりますが、入院レセの知識があることは就職先が広がることにつながりますので、出来れば入院レセが出題範囲にふくまれる資格を目指す方が良いと思います。
ちなみに、将来的に目標としてほしい「診療報酬請求事務能力認定試験」にも実技試験として外来・入院のレセプト作成問題が1問づつ出題されます。
診療報酬請求事務能力認定試験は3時間にもおよぶ試験ですが、解答する理想的な時間配分は学科1時間、外来レセプト30分、入院レセプト1時間30分と言われています。
つまり、入院レセプトの問題が、ボリュームも多くレベルもかなり高いものだということです。
したがって、入院レセプトの問題に慣れる意味でも、最初に目標とする資格試験にも入院レセが入っているものをお勧めします。
なお、医療事務資格によっては級が設定されているものもあり、上位の級で入院レセが出題範囲に含まれるものもあります。
そういった資格を下の級から順番に狙っていくのも良いかと思います。
医療事務のメインの業務は診療報酬請求(レセプト)と言われますが、もちろんそれだけではありません。
接遇(患者さんへの接し方)なども、仕事をするうえで大事になってきます。
ですから、診療報酬請求(レセプト)作成だけでなく、その他の分野も出題範囲に含まれる資格を選び、学習されるのが良いと考えます。
医療事務の資格試験は在宅で受験可能なものが少なくありません。
在宅受験は受験者側から見ると便利な制度ですが、資格取得に便利さを求めるのは違うと思います。
資格を取得するのは、第三者に知識があることを評価してもらい、ひいては就職で有利になるためです。
したがって、簡単に不正ができてしまう在宅受験の制度がある資格は選ぶべきではありません。
医療事務資格について良く知る医療関係者には
「○○の試験は在宅受験だから全く評価しない」
と断言する人もいます。
せっかく勉強して資格を取るのですから、少しでも評価される可能性の高い資格を目指しましょう。
医療事務資格の中には「認定講座を受講していること」を受験資格とする資格がありますが、正直意味が分かりません。
医師や看護師は、ご存知のとおり国が認定した大学等で数年間学び、必要学科を修めていることが受験資格です。
これは当然だと思います。
もし、受験資格が不問で机上の知識だけで現場実習をやったこともない人が、資格だけで仕事をやれるのであればとても怖いことですし、間違えれば人命にも関わってくる責任が極めて重い仕事でもあります。
それに対し、医療事務資格が「認定学校等で所定の講座を履修していること」を受験資格とする必要があるのでしょうか?
医療事務は資格がなくても出来る仕事です。
また、最も難しい「診療報酬請求事務能力認定試験」を始めとする、多くの医療事務資格で受験資格が不問です。
その中で受験資格を設定している医療事務資格の意味は、やはり分かりかねます。
「全国で試験を実施できる体制がない。受験者が集まらない。」
「講座に人を集めるための資格で、講座受講生以外に対応する気はない。」
「講座修了試験の位置づけと変わらない試験を、講座の権威付けのために、他団体を作り資格としている。」
のかと、勘ぐってしまいます。
すべて資格運営側の思惑です。
総じて知名度が低い医療事務資格において、受験資格が必要=受験者数が少なくなることは、知名度の低さが助長されることになりますし、将来的にも知名度が上がる可能性が低いと考えられます。
資格保有者が少ないというのは受験者にとってメリットになることもありますが、それは資格自体に圧倒的な知名度か評価どちらかががある場合のみです。
つまり、前提として医療機関から評価され、資格保有者を採用したいと思われるような資格でなければ、受験者にとってメリットはないのです。
ですから、受験資格を設定する理由もなく、受験者にとってのメリットもない、受験資格が設定されている資格は避けるべきだと考えます。
医療事務資格を主催している団体には、将来の医療事務員の養成を目的として資格試験の運営だけを行っている団体もあります。
もちろん、そういうところが一概にダメなわけではありませんが、医療事務だけでなく他の医療業界関連のセミナーや活動を行っている団体のほうが、医療業界全体の情報が入るのも早く、対応もできるでしょうし、医療事務員以外にも知名度があると予想できます。
逆に、資格試験の運営だけの団体で、かつ、医療事務以外にも雑多な分野の資格を扱っているところについては、医療業界においての信用度が低いと感じています。
資格の評価においては、運営する団体の信用度も大事です。
例えば、医療事務の資格に「日本医師会認定医療秘書」というものがありますが、例えこの資格自体を知らなくても国内の約6割の医師が加入する日本医師会を知らない医師や医療関係者はいないでしょう。
そうであれば、少なくとも医療業界や現状の医療を取り巻く環境を知らない団体がやっている資格ではないということで、一定の評価がされるとは思いませんか?
実際にそういう面があります。
つまり、医療関連で様々な活動を行っている団体であれば、資格は知らずとも団体自体を聞いたことがあるということになり、資格も団体も全く知らない場合より評価される可能性が高くなります。
初心者・未経験者が狙うべき医療事務資格のポイントをお伝えしてきました。
主な資格について、これらのポイントをまとめました。
なお、点数および評価は、未経験者が始めに狙う資格として、筆者の経験等に基づき独自に評価したものですのでご承知おきください。
会場受験のみであることを3点とし、他5項目は2点の13点が満点となります。
*最後に評価順に並び替えています。
資格名称 【主催団体】 |
各ポイントと点数、評価 |
---|---|
医療保険士認定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 3点 |
医療事務検定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 9点 |
医科医療事務検定(3級) |
<総合点および評価・レビュー> 6点 |
医科医療事務検定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 8点 |
医科医療事務検定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 6点 |
医療事務資格試験 |
<総合点および評価・レビュー> 2点 |
医療事務(医科)能力検定試験(3級) |
<総合点および評価・レビュー> 7点 |
医療事務技能審査試験 |
<総合点および評価・レビュー> 13点 |
医療事務士R認定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 5点 |
医療事務管理士R技能認定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 6点 |
医療情報実務能力検定試験(2級) |
<総合点および評価・レビュー> 4点 |
医科2級医療事務実務能力認定試験 |
<総合点および評価・レビュー> 9点 |
医療保険請求事務者認定試験(2級) |
<総合点および評価・レビュー> 7点 |
初心者が狙うべき医療事務全般の資格を、点数順に並び替えたものがこちらです。
資格名称 |
点数 |
学べる主な専門学校等 |
---|---|---|
医療事務技能審査試験 |
13点 |
ニチイ学館他 |
医科2級医療事務実務能力認定試験 |
9点 |
ヒューマンアカデミー他 |
医療事務検定試験 |
9点 |
日本医療事務協会、三幸学園グループ各種学校 |
医科医療事務検定試験(3級) |
8点 |
大学内講座等 |
医療事務(医科)能力検定試験(3級) |
7点 |
大原学園 |
医療保険請求事務者認定試験(2級) |
7点 |
神戸医療事務センター |
医療事務管理士R技能認定試験 |
6点 |
ソラスト、ユーキャン他 |
医科医療事務検定(3級) |
6点 |
福岡メディカルスクール |
医科医療事務検定試験(3級) |
6点 |
お茶の水医療福祉専門学校 |
医療事務士R認定試験 |
5点 |
全国32の協会指定大学・短大 |
医療情報実務能力検定試験(2級) |
4点 |
TERADA医療福祉カレッジ |
医療保険士認定試験 |
3点 |
医療保険学院、 |
医療事務資格試験 |
2点 |
キャリアカレッジジャパン |
結果、初心者が狙う資格として、
「医療事務技能審査試験(メディカルクラークR)」 ニチイ学館公式サイト
「医科2級医療事務実務能力認定試験」 ヒューマンアカデミー公式サイト
をおすすめします。
*ちなみに当サイトのおすすめはヒューマンアカデミーです。
その理由はこちら ⇒ 医療事務資格の学校・講座を選ぶポイント
*「医療事務検定試験」は再試験が在宅試験となるためおすすめから外しました。
ですが、他の資格がダメということは全くありません。
最初にお伝えしたとおり、医療事務関連の資格で評価にそれほど大きな違いはありません。
今回は、少しでも知名度が高い資格、評価が高い資格という観点から検討しましたが、この他にも、あなたの地域の求人情報をチェックし、各種専門学校等の資料をご覧になり、また、実際に学校に足を運ぶなどして
等々を含めて検討してください。
医療事務になるための具体的STEPを最初からご覧になりたい方は
⇒ 未経験・資格無しから医療事務の仕事に就くための最短STEP
ここまでSTEPどおりに読み進められてきた方は、すでに資格取得のための第一歩、そして、医療事務就職のための第一歩を踏み出されていることになります。
自転車で走り出すときのように、進む距離はわずかであっても第一歩目が一番力が要ります。
ですが、そこさえ乗り越えてしまえば、あとはわずかな力を入れ続けるだけでどんどん進んでいけます。
あなたは、その大事な、大事な一歩目をすでに踏み出したのです。
これからあなたの前には上り坂や下り坂が現れることもあるでしょうが、ご自身でブレーキをかけてしまわないことだけを注意してください。
そうすれ確実にゴールに向かって進んでいけます。
医療事務が、あなたにとっての本当に理想の仕事となる日を目指して、これからも頑張ってください。
さて、最後に当面の目標である医療事務への就職という峠を乗り越えるために、採用面接に関するアドバイスをお伝えしたいと思います。
もしまだここまでのSTEPで行動されていない項目があれば先に済ませてしまい、採用面接までのお時間のある時にでもご覧ください。
僅かでもあなたのお力になれたなら幸いです。
⇒ STEP5:医療事務資格を就職に活かす
*まだ一歩目を踏み出されていない方は
⇒ STEP1:未経験・無資格から仕事に就くために
⇒ STEP2:医療事務の求人情報を入手する
⇒ STEP3:医療事務求人情報のチェックと応募