中学生にもわかる【レセプト】

中学生にもわかるレセプト

医療事務歴7年と半年。
抱える部下は医事課のスタッフ10人。同期は3人いて、上司は少しだけおっかない女の人だけど、気のいい仲間たちとそこそこ充実した医療事務生活を送れている。

 

そんな私のもとに可愛い小悪魔から虚を突かれるような『クエスチョン』が投げ込まれたのは、ある日の夕飯時。
近所に住む中二の姪っ子、メイは綺麗に食べ終えた晩御飯のお皿を脇によけて私に最新のスマホの画面をかざしてこう言った。

 

レセプトってなに?

「お姉ちゃん、レセプトってなに?」

 

そこには『医療事務サイト〜レセプト編〜』という見出しの画面が。

 

さあ、来ました。
難しい年ごろの女の子から突然の職業クエスチョン。

 

「いきなりどうしてそんなことを聞くのよ」
「私もそろそろ将来のことを考えようと思ってさ〜」

 

なんという小生意気な発言。
しかし、質問をしてくる中二はどうやら真剣に私の仕事内容に興味があるよう。
どれ、お相手してしんぜよう。

 

レセプトを語るならば医療費の仕組みを知れ

 

私 「レセプトってのは、簡単に言うとお金のことよ」

 

メイ「え? お金? レセプトってお金なの? 百円とか千円とか?」
私 「まあ、聞きなさい。メイは病院に行くとお金を払うでしょ?」

 

メイ「払うよ。当たり前じゃん!」
私 「実は割引されてるの、知ってる?」

 

メイ「えー!? 知らないよ! 何%オフになってるの!?」
私 「いい質問だね! メイは70%オフかな〜」

 

メイ「え、私、3割しか払ってないの?」
私 「そうよ〜。私もお母さんもお父さんもみーんな割引料金」

 

メイ「おばあちゃんとおじいちゃんも?」
私 「そう。おじいちゃんなんて76歳だから90%オフだよ」

 

メイ「76歳だから? 年齢に関係があるの?」
私 「そう。小学校に上がる前のおチビちゃんだと80%オフかな」

 

メイ「信じられない!」
私 「なんでだと思う?」

 

メイ「うーん。病院が親切だから?」
私 「メイが病院にいくときに持っていくものが関係しています」

 

メイ「持っていくもの〜? 保険証とか?」
私 「大・正・解! 保険証があると勝手に割引料金になるんだな〜」

 

メイ「ええ? そんなことしたら病院つぶれちゃうじゃん!」

 

つぶれません!レセプトがあるから!

 

レセプトはお金

私 「そこでレセプトが出てくるのよ」

 

メイ「え? 全然、意味が分からない……」
私 「例えば、メイが今月3回病院に行くとするでしょ?」

 

メイ「そんなに行かないよ。私、元気だもん」
私 「だから例えばだって。――そうすると3回とも割引されるわけ」

 

メイ「なんか安くしてもらっちゃって悪いな〜(笑)」
私 「それをね、次の月にまとめて計算するの」

 

メイ「ええっと、私のなにを計算するの?」
私 「メイの割引される前の金額3回分。これをね『医療費』っていうのよ」

 

メイ「ふ〜ん。医療費は月でまとめるのが決まりなの?」
私 「その通り。医療費は割引される前の金額のことよ。さてここで問題です。
   メイの医療費はいくらでしょう!」

 

メイ「私が毎回300円しか払ってなかったとしたら〜」
私 「メイは3割しか払ってないからね。7割引きよ」

 

メイ「本当は1000円ってこと? じゃあ3回分で3000円?」
私 「そう。メイの医療費は3000円です。でもメイは割引だから3回分でも?」

 

メイ「900円しか払ってないよ」
私 「安いでしょ?」

 

メイ「安いよ! 残りの2100円はどうするの!?」
私 「その2100円がレセプトよ!」

 

メイ「……え〜?」

 

まだ支払われていない差額を貰おう!

 

レセプトでお金をもらう

私 「メイの言うとおり患者さん全員に割引してそのままにしてたら病院は大赤字よ」

 

メイ「そうだよね〜」
私 「お薬を仕入れたり、お医者さんや看護師さんにお給料もあげなきゃいけないもの」

 

メイ「つまり、患者さんに割引してあげた残りの分を病院は貰えるってこと?」
私 「レセプトで請求するのよ。残りのお金をくださいってレセプトを出すと貰えるの」

 

メイ「メイにはメイのレセプトがあるってこと?」
私 「そうよ。患者さん一人につき一枚のレセプトがあるの」

 

メイ「え、じゃあ月に500人の患者さんがきたら500枚のレセプトってこと?」
私 「ピンポーン!」

 

メイ「すごい量だね! そのレセプトをどこに出すの?」
私 「出すところは二つね。市役所の保険証を使ってる人と会社の保険証を使ってる人で
   出すところが分かれているの」

 

メイ「私とママは、パパの会社の保険証を使ってるよ!」
私 「それなら『支払基金』っていうところにレセプトを出すことになるわ」

 

メイ「市役所の保険証なら?」
私 「市役所の保険証なら『国保連合会』ね。おじいちゃんは市役所の保険証よ」

 

メイ「じゃあ『国保連合会』だ!」
私 「レセプトを出すといろいろな人にチェックされて、そのチェックが終わると病院に
   残りのお金が支払われるの」

 

メイ「私の残りの2100円も病院に入ってくるってこと?」
私 「そうよ」

 

メイ「大きい病院は患者さんたくさん来るから大変だねえ」
私 「大変なんてもんじゃないわよ。だって締め切りがあるんだもの。時間との闘いよ」

 

メイ「そうなの? 好きな時に出せないんだ」
私 「レセプトを出すのは次の月の10日までって決まりがあるのよ」

 

メイ「ひ〜〜! それはかなり急ピッチだね」
私 「でも、レセプトを出せば病院は赤字にならなくて済むでしょう?」

 

メイ「レセプトがちゃんと出ないと赤字になっちゃうよ?」
私 「痛いところを突くわね〜(笑) そのためにお姉ちゃんたち医療事務がいるのよ」

 

メイ「レセプトって一枚一枚がお金みたい」
私 「私、最初に言ったでしょ?」

 

メイ「あ! レセプトは『お金』! そういうことだったのかあ!」
私 「どう? 医療事務の仕事、少しはわかった?」

 

メイ「すっごい沢山のお金をレセプトで貰わなきゃいけないってことはわかった」
私 「――うーん、まあ7割正解ってことにしましょう!」

 

メイ「もー! こんなとこまで割引しないでくださーい!」
私 「あはは(笑) ごめんごめん」

 

 

どうやら、肝心なことはちゃんと伝わったようで一安心。
『レセプトはお金』
『レセプトを出すところは二つある』
『レセプトを提出することで病院にお金が入金される』
『レセプト請求しないと病院は赤字になってしまう』
まあ、これだけ伝われば十分でしょう。

 

さて、次はこの小生意気な小悪魔から一体どんなクエスチョンが飛び出すか。
これは今から予習しておかなきゃだめかな(笑)